この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
相変わらず光の矢は降り注いでいる。矢に当たりそうになる度に、思わず目をギュッと閉じてアーベルを隠すけど、一向に当たらない。
「大丈夫だ。攻撃対象を限定して発動している」
え?!今なんて?!?!
頭上でローデリヒ様がなんか言ってるけど、ちょっと今理解するだけの余裕がない。なんか、沢山人の声も聞こえるし。……っていうか、人の声が多くない?
道らしき道を逸れ、森の中に入ったのだろう。目を閉じても明るさを感じていたのが、急に暗くなった。恐る恐る目を開けると、ローデリヒ様が《千里眼》を発動しながら馬を走らせている。
眉間の皺が深い。前はよく見ていた険しい顔を久しぶりに見た気がする。
「……ロー、足止めを頼めるか?」
肩に乗っていたローちゃんが、心得たとばかりに飛び降りる。
白いデブ猫の後ろ姿がどんどん小さくなって行くのを見て、感じた不安をローデリヒ様は察したのだろう。
大丈夫だ、という心の声が伝わってくる。
大勢の声が段々と小さくなっていく。
距離が離れていっているのだろう。周りには誰もいないのが、人の思考が伝わってくる私には分かる。
近衛騎士達と離れてよかったのだろうか。
「大丈夫だ。攻撃対象を限定して発動している」
え?!今なんて?!?!
頭上でローデリヒ様がなんか言ってるけど、ちょっと今理解するだけの余裕がない。なんか、沢山人の声も聞こえるし。……っていうか、人の声が多くない?
道らしき道を逸れ、森の中に入ったのだろう。目を閉じても明るさを感じていたのが、急に暗くなった。恐る恐る目を開けると、ローデリヒ様が《千里眼》を発動しながら馬を走らせている。
眉間の皺が深い。前はよく見ていた険しい顔を久しぶりに見た気がする。
「……ロー、足止めを頼めるか?」
肩に乗っていたローちゃんが、心得たとばかりに飛び降りる。
白いデブ猫の後ろ姿がどんどん小さくなって行くのを見て、感じた不安をローデリヒ様は察したのだろう。
大丈夫だ、という心の声が伝わってくる。
大勢の声が段々と小さくなっていく。
距離が離れていっているのだろう。周りには誰もいないのが、人の思考が伝わってくる私には分かる。
近衛騎士達と離れてよかったのだろうか。