この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
やがて少し森が開けた場所まできた。ポツリと小さな小屋が立っている。そんなに古くはなく、時々手入れもされていそうな感じ。でも、人が住んでいる気配はない。薪の切れ端の様なものが周囲に散らばっているので、もしかしたら薪を取る時に使う小屋なのかも。
「ここまで来れば中々追っ手は来れまい」
ローデリヒ様は先に馬から降りて、私の手からアーベルを受け取った。私も差し出された手を借りて降りる。
「……あ、あの、一体何が?」
いきなりの逃亡劇だった。
馬車の扉を開けたら光の矢が降ってきているのだ。訳が分からない。
「先頭の近衛騎士が道を間違えたというのは、偽りだろう。どうやら見つかりにくい場所へ誘導していたみたいだ」
「見つかりにくい場所?」
「待ち伏せされていた。それも一つの小隊くらいの人数だ。盗賊ならまだ良かったが……。身なりからしてそれなりに訓練されていそうな者達だったな」
そういえば、馬車に色々魔道具が付いていたから私の能力も抑えられていたけれど、外に出た時に人が多く居るように感じた。
小屋には鍵はかかっていなかった。ローデリヒ様は中をザッと見渡す。大丈夫だと判断したのか、さりげなく私を小屋の中の椅子に座らせた。
「ここまで来れば中々追っ手は来れまい」
ローデリヒ様は先に馬から降りて、私の手からアーベルを受け取った。私も差し出された手を借りて降りる。
「……あ、あの、一体何が?」
いきなりの逃亡劇だった。
馬車の扉を開けたら光の矢が降ってきているのだ。訳が分からない。
「先頭の近衛騎士が道を間違えたというのは、偽りだろう。どうやら見つかりにくい場所へ誘導していたみたいだ」
「見つかりにくい場所?」
「待ち伏せされていた。それも一つの小隊くらいの人数だ。盗賊ならまだ良かったが……。身なりからしてそれなりに訓練されていそうな者達だったな」
そういえば、馬車に色々魔道具が付いていたから私の能力も抑えられていたけれど、外に出た時に人が多く居るように感じた。
小屋には鍵はかかっていなかった。ローデリヒ様は中をザッと見渡す。大丈夫だと判断したのか、さりげなく私を小屋の中の椅子に座らせた。