この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ――時空を行き来出来る能力(・・・・・・・・・・・)なんて便利な能力、そう簡単に使えるわけがない。


 まるで自分の無力感を悔しがるような、声なき声が聞こえた。
 私のレアな能力の人の心を読む能力だって、周囲無差別の上に常時発動というデメリット。
 幼馴染みのルーカスの常時発動の身体強化は、常に意識していないと色んなものを破壊してしまうマイナス面がある。

 ローデリヒ様とティーナの転移魔法は、一人乗りの上に魔力大量消費。距離も魔力量に比例はするが、人間の魔力は無尽蔵では無い為、ある程度制限されていると言っていい。
 国王様の光と同速に進む魔法は、自分自身を光に変換している。だから、一歩間違えたら光のように散ってしまう上に、単純に速すぎてコントロールが難しい。魔力消費も尋常ではない。

 この世界の便利そうな魔法と能力は、常に何かしらのリスクとデメリットを抱えている。
 均衡を保つかのように。


「アーベルの能力のお陰で、離宮へ向かうことで何かが起こることは分かっていた。だが、離宮行き自体を中止にするのは、アーベルの身に何が起こるか分からなかった」
< 547 / 654 >

この作品をシェア

pagetop