この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
――同時刻、キルシュライト王国首都キルシュ。
余分な贅肉に包まれた体に、縄を掛けられた中年男性は喘ぐ。既に縄が掛けられているジギスムントは、自分の置かれている状況を他所に、思わず白い目で見た。
敵の首謀者――エーレンフリートも思わずドン引きした顔をする。実際に縄をかけた騎士は言わずもがな、だ。
「えー……、おっさんが縛られながら喘いでるのめっちゃ気持ち悪いんですけどー……」
「誤解じゃ!ちょっとくすぐったかっただけなんじゃ!決してそんな趣味ではないぞ!!」
両手を後ろに拘束されつつも、キリッと宣言する中年男性――国王。
国王とジギスムントだけでなく、後宮で働く人間と国王の側室達が一室に集められて拘束されていた。魔力も抑え込まれているので使えない。
王城全体だけではなく、一部。
あまり人の出入りが多くはない後宮がエーレンフリート達によって、掌握されていた。
つい先刻まで、国王とエーレンフリートはのんびりとお茶を楽しんでいたのである。後宮が落ちるのに時間はほとんど掛からなかった。事前に綿密に打ち合わせでもしていたのだろう。あざやかな手腕であった。
余分な贅肉に包まれた体に、縄を掛けられた中年男性は喘ぐ。既に縄が掛けられているジギスムントは、自分の置かれている状況を他所に、思わず白い目で見た。
敵の首謀者――エーレンフリートも思わずドン引きした顔をする。実際に縄をかけた騎士は言わずもがな、だ。
「えー……、おっさんが縛られながら喘いでるのめっちゃ気持ち悪いんですけどー……」
「誤解じゃ!ちょっとくすぐったかっただけなんじゃ!決してそんな趣味ではないぞ!!」
両手を後ろに拘束されつつも、キリッと宣言する中年男性――国王。
国王とジギスムントだけでなく、後宮で働く人間と国王の側室達が一室に集められて拘束されていた。魔力も抑え込まれているので使えない。
王城全体だけではなく、一部。
あまり人の出入りが多くはない後宮がエーレンフリート達によって、掌握されていた。
つい先刻まで、国王とエーレンフリートはのんびりとお茶を楽しんでいたのである。後宮が落ちるのに時間はほとんど掛からなかった。事前に綿密に打ち合わせでもしていたのだろう。あざやかな手腕であった。