この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「エーレンフリートに不自然な点を見つけたのは、未来のアーベルが来たからだ。アーベルが父上に言ったんだと、
 ――鍵はちゃんと、閉めていたんです、と」

「鍵はちゃんと閉めていた?」


 意味が分からない。


「アーベルが来た日、エーレンフリートが私の私室で父上に馬乗りにされていたんだ」

「待って、そこからもう追いつけないんですけど」


 ちょっと絵面がよく分かんない事になってるんだけど、国王様って側室いっぱいいるから女の人好きだと思い込んでた。どちらも好きなんだね。
 なんでローデリヒ様の私室なのかが分からないんだけどさ……。


「アーベルが来た日、16歳のアーベルとエーレンフリートも遭遇していたらしい。私の執務室で。どうやらエーレンフリートは父上の隠し子だと疑っていたようだが……、アーベルとエーレンフリートは戦っていたらしい。父上が来るまで」


 戦っていた?
 思わずベッドに寝転がっているアーベルに視線を落とす。ちょっとなんでそんな危ないことになっているの……?
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