この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「アーベルはおそらく10年後の私の鍵を持っているようだった。
父上が来た当時、私の部屋にはアーベルとエーレンフリートがいた。部屋の前の近衛騎士達は二人共倒れ伏していた。
エーレンフリートは鍵が開けっ放しだった、
アーベルは鍵はちゃんと閉めていた、と話している」
じゃあ、鍵はアーベルしか開けられなかったということ?
「父上が言うには、アーベルの目的の1つは、離宮行きの行程の草案を盗むこと」
「盗むって……」
私はそんな悪い子に育てた覚えはありません。
「盗む……というより、別の者の手に渡るのを阻止したと言うべきか。離宮行きの日は近付いていた。私室に置いていたのは、ほぼ確定に近い草案だったんだ」
離宮行きの話自体は、今まで住んでいたところの工事が出産予定日までに間に合わない、またはギリギリになりそうだという事を知ってすぐだったので、比較的早い段階で決まっていた。人の心の声が聞こえないように魔法を使っていたが、どうにも人の出入り自体多い王城が落ち着かなくて、私がお願いしたのだ。
父上が来た当時、私の部屋にはアーベルとエーレンフリートがいた。部屋の前の近衛騎士達は二人共倒れ伏していた。
エーレンフリートは鍵が開けっ放しだった、
アーベルは鍵はちゃんと閉めていた、と話している」
じゃあ、鍵はアーベルしか開けられなかったということ?
「父上が言うには、アーベルの目的の1つは、離宮行きの行程の草案を盗むこと」
「盗むって……」
私はそんな悪い子に育てた覚えはありません。
「盗む……というより、別の者の手に渡るのを阻止したと言うべきか。離宮行きの日は近付いていた。私室に置いていたのは、ほぼ確定に近い草案だったんだ」
離宮行きの話自体は、今まで住んでいたところの工事が出産予定日までに間に合わない、またはギリギリになりそうだという事を知ってすぐだったので、比較的早い段階で決まっていた。人の心の声が聞こえないように魔法を使っていたが、どうにも人の出入り自体多い王城が落ち着かなくて、私がお願いしたのだ。