この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
証拠がないと、どちらが本当のことを言っているのか分からない。でも、どちらかが間違ったり、嘘を言っていなければ辻褄が合わない。
「エーレンフリートが部屋の見張りの騎士を完全に欺いて、アーベルより先に室内に居たと仮定する。まず最初に鍵の問題が発生するが、エーレンフリートの言う通り、開けっ放しだったとしよう。
だが、後から来たアーベルに草案を盗まれるとは思えない。エーレンフリートとアーベルは、魔法の力量で言えばエーレンフリートの方が優れているからだ。例え、アーベルの魔法が特殊でエーレンフリートが遅れをとったとしても、疑問が残る。
何故、近衛騎士を欺いてまで私室に入ったのか?、と」
ローデリヒ様とエーレンフリート様の仲はそれなりに良い。ただ、寝室でないにしろ、王太子の私室に1人で立ち入ることは侍従以外居ないのが普通だ。
「ここまでは状況証拠を幾つか繋ぎ合わせたに過ぎない。明確な動機も、片方からは事情すらまともに聞けていない。未来へ帰ってしまっているし、帰っていなくとも聞けなかっただろう。だから、確証なんてなかったんだ。疑い、だけで」
ローデリヒ様は視線を寝転がっているアーベルに向けた。アーベルはローデリヒ様の指を楽しそうにニギニギしている。
「エーレンフリートが部屋の見張りの騎士を完全に欺いて、アーベルより先に室内に居たと仮定する。まず最初に鍵の問題が発生するが、エーレンフリートの言う通り、開けっ放しだったとしよう。
だが、後から来たアーベルに草案を盗まれるとは思えない。エーレンフリートとアーベルは、魔法の力量で言えばエーレンフリートの方が優れているからだ。例え、アーベルの魔法が特殊でエーレンフリートが遅れをとったとしても、疑問が残る。
何故、近衛騎士を欺いてまで私室に入ったのか?、と」
ローデリヒ様とエーレンフリート様の仲はそれなりに良い。ただ、寝室でないにしろ、王太子の私室に1人で立ち入ることは侍従以外居ないのが普通だ。
「ここまでは状況証拠を幾つか繋ぎ合わせたに過ぎない。明確な動機も、片方からは事情すらまともに聞けていない。未来へ帰ってしまっているし、帰っていなくとも聞けなかっただろう。だから、確証なんてなかったんだ。疑い、だけで」
ローデリヒ様は視線を寝転がっているアーベルに向けた。アーベルはローデリヒ様の指を楽しそうにニギニギしている。