この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ローデリヒは馬鹿馬鹿しい、とあまり相手にしないことにして、冷めた紅茶の残りを飲み干そうとカップに口をつける。
 拳を握ったイーヴォが真顔になった。


「それに閨の方でも百発百中とか尊敬しますよほんと」

「ゴホッ」


 飲みかけの紅茶が変な所に入って思わずむせる。
 ヴァーレリーはゴミを見るような目でイーヴォを軽蔑していた。


「お前……」


 復活したローデリヒは地を這うような低い声と共にイーヴォを睨めつける。睨み付けられた方は、慌てた両手を振った。


「や、ほら、馬鹿にしてないです!男として尊敬してますすごく!!だってそんな芸当普通できない」

「そんな事で尊敬されたくない!!」


 王太子の執務室で、大きな雷が落ちた。
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