この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 大混乱しながら、洗面所で立ち尽くしていると凄い勢いで扉が開いた。

「あっ、アーベル!!」

 珍しくローデリヒ様の焦った声と共にお風呂から小さな影が飛び出してくる。

「あーたま!」

 とてとてと私に向かってアーベルが飛び込んでくる。何とか受けて止めた。さっきまでお風呂入ってたからびしょ濡れなんだけど。

「あっ、待って、母様のドレス汚れてるから、砂まみれだから、せっかくアーベル綺麗になったのに」

 砂まみれのドレスのまま普通にベッドに入ってたんだけど、それよりも疲れが勝ってたのかもしれない……。基本的にはお風呂入ってからじゃないとベッド入るの気持ち悪い派なんだよね……。


「アーベルも心配していたからな。嬉しいのだろう」


 ローデリヒ様が腰にタオルを巻きながら出てくる。上半身は裸のままだ。なんかすごく……、筋肉がついてます。脱いだら凄いとか言うやつなんだろうな。直視出来ない。
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