この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】

そして、合流?


 指の腹で頬をスリスリと撫でられる。ほんの少しだけローデリヒ様の指の方が冷たかった。やっぱりローデリヒ様の手ってちょっと低温だよね。

「疲れていたようだが、少しは良くなったか?」

 覗き込むようにして私の顔を見る。
 そういえば、前世で手が冷たい人は心が温かいとか言ってたっけ?

「寝てたのでだいぶマシにはなりました」
「そうか。無理はするな」

 ローデリヒ様が指を引く前に、私は自分から頬を寄せた。驚いたかのように一瞬指先が止まったが、今度は両頬を手のひら全体で包み込まれる。彼の海色の瞳が、オレンジ色のランプに照らされて、

 昏く、揺れた。
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