この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 闇を見た。私は思わず遠い目になる。
 一行目からとてもヘビィじゃん。朝から読むものじゃない。

 誰よワクワクするなんて言ったの。嫌な意味でドキドキだよこれ。私の事なんだけどね!

 この一文を見て、続きを読まない訳にはいかないので、再び集中する。


『この結婚は必ず破綻する。
 結婚式は明日。始まってすらないけれど、結末は目に見えている。

 相手は大国キルシュライト王国の王太子様。
 アルヴォネンは決して小国じゃない。でも大きな王国の王太子様から指名された縁談は、滅多な事では断れない。

 そして、私達側に利点しかない政略結婚だった。

 ローデリヒ様がアルヴォネンの社交界で流れる噂を知らないわけがない。
 火のない所に煙は立たないように、噂も全てが偽りじゃない。
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