この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「――ま、間に合った、か?」
馬の動きと共に揺れる月光のような金の髪。真っ白の肌に汗が伝う。穏やかな海の色の瞳には、焦りが浮かんでいた。
「ロ、ローデリヒ様……!」
視界が滲む。鼻の奥がツンと痛んだ。彼が連れてきた騎士団の人間が、街の人の誘導と襲撃者の捕縛を開始している。
ハイデマリー様もそれを確認して安心したのか、大きく息を吐く。そして、座り込んでそのまま石畳に横になった。
黒目がちの瞳が眠そうにうつらうつらとしている所を見ると、限界をとうに超えていたのだろう。ハイデマリー様みたいな人が、地べたに横になるなんてよっぽどだ。
「アリサ……!」
馬から降りたローデリヒ様が駆け寄って来る姿を見て、私はようやく一息つけたのだ。
ずっと私の腕の中で大人しく固まっていたアーベルが、ひゅっと大きく息を吸う。
「――うあああああん!!」
「あ、アーベル?!ごめんね!怖かったよね?!」
馬の動きと共に揺れる月光のような金の髪。真っ白の肌に汗が伝う。穏やかな海の色の瞳には、焦りが浮かんでいた。
「ロ、ローデリヒ様……!」
視界が滲む。鼻の奥がツンと痛んだ。彼が連れてきた騎士団の人間が、街の人の誘導と襲撃者の捕縛を開始している。
ハイデマリー様もそれを確認して安心したのか、大きく息を吐く。そして、座り込んでそのまま石畳に横になった。
黒目がちの瞳が眠そうにうつらうつらとしている所を見ると、限界をとうに超えていたのだろう。ハイデマリー様みたいな人が、地べたに横になるなんてよっぽどだ。
「アリサ……!」
馬から降りたローデリヒ様が駆け寄って来る姿を見て、私はようやく一息つけたのだ。
ずっと私の腕の中で大人しく固まっていたアーベルが、ひゅっと大きく息を吸う。
「――うあああああん!!」
「あ、アーベル?!ごめんね!怖かったよね?!」