この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「だ、だめっ!!」
掴まれた服を掴み返す。けれど、こちらは屋敷に引きこもってばかりの人間。力で押される。
「アーベルはやめて!!」
「うるさい」
アーベルが私の手から段々と離れていく。
「お願いだから!!どうして?!アーベルは関係ない!!」
「俺達だってそうだった!!」
往生際悪く追いすがる私に業を煮やしたのか、カレルヴォは大きく拳を振りかぶった。
殴られる、と思わず目を閉じる。
ギュッと握っていたアーベルの服が、手の中から無くなった。思わず追いすがるように手を伸ばす。
「ッ?!」
声にならない悲鳴を上げたのは、私ではなかった。
「ギリギリ間に合った、という所ですか……」
おそるおそる目を開けた私の前には、手にナイフが刺さって蹲るカレルヴォと細く息を吐いた16歳のアーベル、だった。
掴まれた服を掴み返す。けれど、こちらは屋敷に引きこもってばかりの人間。力で押される。
「アーベルはやめて!!」
「うるさい」
アーベルが私の手から段々と離れていく。
「お願いだから!!どうして?!アーベルは関係ない!!」
「俺達だってそうだった!!」
往生際悪く追いすがる私に業を煮やしたのか、カレルヴォは大きく拳を振りかぶった。
殴られる、と思わず目を閉じる。
ギュッと握っていたアーベルの服が、手の中から無くなった。思わず追いすがるように手を伸ばす。
「ッ?!」
声にならない悲鳴を上げたのは、私ではなかった。
「ギリギリ間に合った、という所ですか……」
おそるおそる目を開けた私の前には、手にナイフが刺さって蹲るカレルヴォと細く息を吐いた16歳のアーベル、だった。