この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
アーベルが、人を刺し……?!?!
あまりの衝撃に開いた口が塞がらない私はよそに、2人は緊張を解かずにゆっくりと話し始める。
「――我がキルシュライト王国の王太子妃と王子にわざわざ手を出しているのです。それ相応の覚悟がおありで?」
「……死が怖くて、復讐出来るか」
「そうですか……」
大して抑揚もなく言い切ったアーベルは、短剣を構える。さっきまで持っていなかったのに、どこから出したそれ……。分からなかったよ……。
またカレルヴォの体がドロリと溶けた。熱された金属が溶けるように、人間が溶けていくのは少し不気味。
アーベルは小声で唱えた。
「《光雷撃》」
小さな稲妻がアーベルの胸元からカレルヴォに向かって飛んでいく。カレルヴォに直撃したかのように見えたけれど、泥を通り抜けるように手応えなくすり抜けて壁にぶつかった。
アーベルは眉をひそめて呟く。
「相性が、悪い……?」
確かに相性が悪そうだった。なんというか、攻撃自体が通じてない気がする。
――ガキの方は厄介だな、というカレルヴォの声が部屋のどこからか響いてきて。
「ちょちょ、ちょっと待って?!なんか人が生えて来てるんですけど?!」
あまりの衝撃に開いた口が塞がらない私はよそに、2人は緊張を解かずにゆっくりと話し始める。
「――我がキルシュライト王国の王太子妃と王子にわざわざ手を出しているのです。それ相応の覚悟がおありで?」
「……死が怖くて、復讐出来るか」
「そうですか……」
大して抑揚もなく言い切ったアーベルは、短剣を構える。さっきまで持っていなかったのに、どこから出したそれ……。分からなかったよ……。
またカレルヴォの体がドロリと溶けた。熱された金属が溶けるように、人間が溶けていくのは少し不気味。
アーベルは小声で唱えた。
「《光雷撃》」
小さな稲妻がアーベルの胸元からカレルヴォに向かって飛んでいく。カレルヴォに直撃したかのように見えたけれど、泥を通り抜けるように手応えなくすり抜けて壁にぶつかった。
アーベルは眉をひそめて呟く。
「相性が、悪い……?」
確かに相性が悪そうだった。なんというか、攻撃自体が通じてない気がする。
――ガキの方は厄介だな、というカレルヴォの声が部屋のどこからか響いてきて。
「ちょちょ、ちょっと待って?!なんか人が生えて来てるんですけど?!」