この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ローデリヒ様は腕を組みながら、首肯した。つまり飼い殺し、という事かあ……。

「エーレンフリートなら辺境でも楽しんでそうで、罰を与えた気になれなさそうじゃがな……」

 国王がボヤいたけれど、話を続ける。

「カレルヴォとかいう今回の首謀者は情報を吐かせた後、処刑。その部下も処刑予定じゃ。アルヴォネン王国に潜伏している者共については、ルーカス国王が自ら処分するとの話をしておる」
「ルーカスが……?」
「そうじゃ。良い友を持ったのぅ」
「ええ」

 ルーカスもティーナも、ローデリヒ様から私を助けようとしてくれたくらい、私のことを大事にしてくれている。勘違いだったけれど。

「ルーカス国王は冤罪で罰せられた一族に、救済措置をとる予定だそうじゃ。まあ、アリサにその話も近いうちに来るじゃろう」

 国王様の言葉に、私は前のめりになった。

「そ、それって、私でも救済措置を行う事は可能ですか?!」
「うーむ。アリサはもうキルシュライトに嫁いで来ておるからなあ……。表立ってなどは難しいかもしれぬが……、ルーカス国王と話して、裏から援助という形でも出来るじゃろう。ま、アルヴォネン王国の話じゃ。ワシらは介入しづらいからのぅ……」
「ありがとうございます!ルーカスに手紙を送ってみます!」
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