この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「でも殿下は政略結婚って……」
「あんまり政治面は詳しくねぇけど、キルシュライト王国は大国だし、決して小さくないとはいえ、隣国の公爵令嬢だぞ?王族ならまだ分かるが、あんまり政略的には価値はねぇんじゃねの?
それに、結婚相手に奥方様を指名したのは殿下だぞ?」
「……た、確かに……」
目をぱちくりとさせるヴァーレリーに可愛いな、と気の抜ける感想を抱きつつ、イーヴォは塀を見上げた。
「でもまあ……、奥方様にとってこの世界は生きにくいだろうな、とは思うけどな」
王城の敷地内にありながら、王城から隔離された場所。離宮とはまた違い、高い塀に囲まれてその屋敷は立っている。
牢獄のように堅牢でありながら、俗世からまるで遮蔽されるかのようだった。
「……それで?俺の可愛い可愛いヴァーレリーちゃんは俺の事で思い悩んだり、傷付いたりしない?するよな?」
気を取り直すかのようにパッと明るい表情をして、イーヴォはヴァーレリーの肩に手を回す。そんなイーヴォをヴァーレリーはバッサリ斬り捨てた。
「あんまり政治面は詳しくねぇけど、キルシュライト王国は大国だし、決して小さくないとはいえ、隣国の公爵令嬢だぞ?王族ならまだ分かるが、あんまり政略的には価値はねぇんじゃねの?
それに、結婚相手に奥方様を指名したのは殿下だぞ?」
「……た、確かに……」
目をぱちくりとさせるヴァーレリーに可愛いな、と気の抜ける感想を抱きつつ、イーヴォは塀を見上げた。
「でもまあ……、奥方様にとってこの世界は生きにくいだろうな、とは思うけどな」
王城の敷地内にありながら、王城から隔離された場所。離宮とはまた違い、高い塀に囲まれてその屋敷は立っている。
牢獄のように堅牢でありながら、俗世からまるで遮蔽されるかのようだった。
「……それで?俺の可愛い可愛いヴァーレリーちゃんは俺の事で思い悩んだり、傷付いたりしない?するよな?」
気を取り直すかのようにパッと明るい表情をして、イーヴォはヴァーレリーの肩に手を回す。そんなイーヴォをヴァーレリーはバッサリ斬り捨てた。