ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】

「美結はそんなこと気にしなくていいんだよ」

「気にするよっ。私のせいで想の成績が下がったりしたら――」

「そんなこと、ないから」

少し強めの口調で遮った。

「美結を理由にして今より落ちるところなんてない。だから、今までと何かを変える必要なんてないよ。変わるなって言ってるんじゃない。無理するなって言ってる。電話したいときはすぐにして。俺に言いたいことがあったら我慢しないで。

あ、他の奴らにはこんなこと言わないよ? 勉強中に邪魔にならないのは、美結だけだから。美結は、俺にとっては勉強より大事ってこと。だから……な?」

美結の手を握っているのとは反対の手で、美結の頬を伝う雫をぬぐう。

どれだけ泣いて、美結はここに来てくれたんだろう。

どれほど涙を流して、僕の隣にいてくれたんだろう。

……美結の涙は、綺麗だ。

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