ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】

兄さんは僕より背が低くて、僕の背中にがっちり腕を廻した格好で喉をひくつかせた。

「うう……っ、だって想、ちょっと前から態度冷たくなってたし……」

……あー、ここにもいたか……美結みたいな誤解をしている人が……。

この泣き上戸の兄さんは大学生。

そう遠くはないけど一人暮らししているから改めて挨拶に行こうと思っていたんだけど、兄さんの方からやってきた。

兄さんのことを僕は、小学生の頃から『兄さん』と呼んでいる。

特に理由はないんだけど、小さい頃のクセというか。

「想、美結の彼氏になってくれたんだって? ううっ、ひっく……あり……ありがとう……っ」

あの、兄さんガチ泣きしているんだけど……。

元々涙もろい人だったけど、美結の家族は僕をなんだと思っているんだろうか……。

ぎゅう。

え?

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