ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「ふえ? うん」
兄さんはまだ涙を浮かべながら僕から離れた。
「美結、兄さんが抱き付いてきたのが嫌だった?」
「………」
僕の問いに、美結はうつむいて顔を見せず、返事の代わりのようにもっと強く抱き付いて来た。
「美結が嫌だったら、もう二度と抱き付かせないから。……言って?」
促すと、美結は額を僕の腕に押し付けて来た。
「……や、だった……」
「兄さん、次抱き付いて来たからぶん殴るから」
「想⁉」
僕の笑顔の通告に、蒼白になった兄さん。
ごめん兄さん、僕には美結以上に大事なものがないから。例え兄さんでも。