ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
なんてアホなことを考えていた僕より先に、美結が動いた。
昼休み、尚より早く美結が新垣を連れ出した。
美結が僕の方に視線を向けて来たから、東輝と小唄には適当なことを言って僕も教室を抜け出した。
美結は、部活棟に新垣を連れて来た。
部屋は鍵がかかっていて入れないけど、廊下は人気がないから聞かれたくない話しをすることには問題ないだろう。
「玲奈、尚と喧嘩でもしたの?」
それにしては尚は普通だったけど……。
壁に背中をつけた新垣は青白い顔で唇を噛みしめたあと、しゃがみ込んだ。
「れ、玲奈っ?」
美結も慌ててしゃがんで、新垣と視線を合わせる。
新垣が小さく言ったのは、僕らには意外な内容だった。
「尚が女の子と一緒にいるの見ちゃった?」