ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「女性」
「女の人になりたくて、女の子の格好してるわけじゃない……性同一性障害ってやつではないんだ?」
「ない。あの格好と話し方は、ただの里宇の趣味だ」
「まー里宇ちゃん、パッと見は本当に美少女だから、勘違いした他校の男子によく告白されてるんだよね……」
「そんで非道い振り方して逃げてる。絶対相手の男子、トラウマになってると思う。ちなみに、俺に似て美結が大好き」
「好きな子って美結なの⁉ 兄弟で⁉」
あ、また誤解させてしまった。
「いや、そうではないんだ。里宇は美結が姉になるのが夢っていう意味での好きで、里宇の好きな人は一年の頃の担任の先生」
「想、さらっとすごいこと言ったね」
「碓氷くん。弟さんの、女装? ていつからなの?」
「……あいつが女装し出したの、あいつが小三の頃なんだけど、休みの日にいきなりスカート履いてリビングにおりてきて、『僕、こういう格好したいだ』って言いだしたんだ」
「……ご両親は……?」
「歓喜した」