ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
うん? 大声で呼ばれて振り返ると、肩で息をした尚がいた。
……どした?
尚はツカツカ歩み寄るなり、僕の胸倉を摑み上げた。
「なんでお前が玲奈と二人でいんだよ!」
「……は?」
いや、美結と三人なんだけど……と言う前に、尚が剣幕で怒鳴った。
「どこ探しても玲奈いないと思ったら、なんでお前んとこにいんだよ!」
僕は三度瞬いてから、斜め下を見た。
……うん、美結もちゃんといる。
「尚、美結のこと見えてる?」
「ああ⁉ ……見えた」
「尚! 私が美結と碓氷くんに話があって、相談乗ってもらってたの」
新垣が立ち上がって反論した。
「想と美結にって……俺には言えない話?」
「そんなこと……っ」
ない、とは言い切れないか……。
愚弟の始末だ。仕方ない。
「尚。お前、里宇と密会してたんだって?」