ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】

「はじまった?」

「感覚的な物言いになっちゃうんだけど、私、想を好きになって、やっと人間になれた気がするの。……だから、想を好きになった小学校は、『私』がはじまった場所」

うわ……今の、すごい刺さった……。

……美結が、母親が亡くなった理由を知ることはないのかもしれない。

僕はそれでいいと思っている。

明かされる必要のない真実もあるだろう。

そうして歩いているうちに、美結の家が見えて来た。

「美結っ!」

玄関先にはおじさんもおばさんも兄さんもいて、おばさんが真っ先に駆け寄って来た。

僕から、つないでいた手を離す。

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