ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
だからその日も、特にキミを探していたとかいうわけじゃなくて、たまたま通りすがりに聞いてしまったというだけだ。

校舎と特別棟を繋ぐ渡り廊下から少しそれた人気のない場所。

僕は親友と図書室への帰り道、キミの後ろ姿をそこに見つけてしまった。

「すき、です……っ」

キミに向かってそう言ったのは、僕もよく知っている男子。

小学校は別だけど、同じクラスで同じバスケ部。

いつも飄々としているけど周りをよく見ていて、クラス全体と仲のいい、いいヤツだ。

キミとも、結構親しかったはず。

「だから、もしよかったら、俺と付き合ってください……っ」

ぽん、と肩を親友に叩かれた。

少し顔を向けると、親友は顎で校舎の方を指した。

早く行くぞ、という意味だったのだろう。

でも僕は……なかなか動くことが出来なくて、盗み聞きするという、最低野郎な真似をしてしまった。

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