「ねぇ、シェアしない?」


そんな馬鹿な。


変えたアドレスを突き止めたというの?


新しいアドレスを教えたのは、舞香と達実だけ。


じゃ、2人のうちどちらかが__?


ううん、そんなことはない。ありえない。


大好きな彼氏と、大切な親友が、私を怖がらせるようなことはしない。


でもそれじゃ、この画像の説明がつかない。


いや、待てよ?


新しく変えたアドレスは、私の誕生日をモジったもの。私の誕生日さえ知っていたら、わりと簡単に突き止められるかもしれない。


たとえば__かつての友達なら?


顔を上げると、彩音と目が合った。


なにかを訴えるように、私のことをじっと見ている。


まさか、彩音が?なんのために?


考えれば考えるだけ、深い闇の渦に巻き込まれていく__。


あれだけ遠かったストーカーとの距離が、写真が送られてくるごとに、次第に近くなっている。


手を伸ばせば届きそうな、危険な距離だ。


いつも不穏なものを感じ、びくびく怯えている私に「心配しないで。優子の怖さを私もシェアするから」と、舞香がそばに寄り添ってくれた。


いくら近いとはいえ、写真を送りつけてくるだけ。


だから大丈夫だと、舞香は励ましてくれたが__。


とうとうストーカーは、私に触れたんだ。


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