「ねぇ、シェアしない?」


「ただいま」


家に帰ってくると、全身の力が抜けていく。


外にいると、いつストーカーに写真を撮られるか気が気じゃないからだ。


学校とは違い、家の中なら安全だ。


制服から家着に着替える。


そのときふと、見慣れないものが目に入った。


あれ?こんな縫いぐるみあったかな?


達実はクレーンゲームの名手で、取ってくれた縫いぐるみをタンスの上に飾ったあった。その中の熊の縫いぐるみを掴んで、首を傾げる。


「取ったっけ?」


記憶にないけど、ここにあるということは取ったということだ。


さして気にも止めることはなかったけど__。


次の日、初めて動画が送られてきた。


それは、達実と仲良くゲームセンターに来ている動画だ。


2人で肩を並べ、クレーンゲームをしている。


見事に縫いぐるみをゲットし、私が喜んで達実のほっぺにキスしていた。


けれど動画は、そこで終わりじゃない。


ぐんぐんとクレーンゲームに近づくと、ストーカーは操作をし始め__クレーンが縫いぐるみを引き上げる。


「えっ⁉︎」


それは、あの熊の縫いぐるみだった。


やっぱりあれは、ストーカーが取ったもの?


そして私の部屋に、忍び込んで置いたのか⁉︎


足元から込み上げてくる恐怖に、私は射すくめられていた__。


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