「ねぇ、シェアしない?」


ここ最近、なんだか達実の様子がおかしい。


大事なバスケの試合でミスをして負けてしまったからかな?と思ったけど、そこまで引きずる性格じゃない。


それなのに、どこか私を避けているようで__?


よそよそしい感じを受けるんだ。


「優子の気のせいだって」


「そうかなー?」


「そうだよ!私が男だったら、優子みたいな可愛い子、ほっとかないもん!」


「舞香ー!」


私は舞香に抱きついた。


2人でしばらくじゃれ合い、色んな話をする。


「舞香は好きな人、いないの?」


「私?うーん、転校する前はいたけど」


「どんなひと?」


「年上の大学生。凄く優しくて大人で、素敵なひとだったんだけど」


「だけど?」


「付き合ってるうちに束縛が激しくなって、暴力とか振るわれるようになって、そのまま別れた」


「そうなんだ。それは嫌だよね」


「結局、ストーカーみたいになって。大変だった」


軽く笑った舞香は、だから強いんだ。


やられたらやり返す。


きっと、ストーカーも撃退したに違いない。


私も負けないで、舞香みたいにもっと強くならないと。


自分を奮い立たせた気持ちは翌日、すぐに消えて無くなった__。


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