「ねぇ、シェアしない?」


ひっ‼︎


起き上がろうとした私の首を、ストーカーが両手で締め上げる。


「だっ、だっ!」


誰か助けてと叫ぼうにも、声が出ない。


目出し帽から覗く目は大きく見開かれ、血走っている。


足をバタつかせて暴れるも、のし掛かってくるストーカーの重みで押さえつけられ、身動きが取れない。


く、苦しい!


息が、息ができないっ!


意識が遠のきそうな中、指先が冷たいものに触れた。


必死でたぐりよせ、掴み、力任せにストーカーの横っ面に叩き込む。


それは、目覚まし時計だった。


首を絞めている力が一気に緩んだすきに、足を思い切り突き出すと、ストーカーが後ろに吹っ飛んでいき__。


ごんっ。


鈍い音がしたかと思うと、そのままストーカーは動かなくなった。


私はベッドの上で首をおさえ、酸素を求めて喘ぐ。


しばらくしてようやく落ち着きを取り戻すも、ストーカーはぴくりとも動かない。


恐る恐る身を乗り出すと、やはりその右手には包帯が巻かれてあった。


間違いない。


三浦明美だ。


気絶しているのか、ぐったりしている明美の目出し帽に手をかけた。


最初はゆっくり、途中で一気に脱がせる。


えっ__?


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