「ねぇ、シェアしない?」
「マジかよ」
私の部屋にやってきた達実は、死体を見て呆然と呟いた。
最後まで私は反対したのに、舞香はこの場に達実を呼び出したんだ。
みんなで秘密を『シェア』しようと__。
「さっきも説明したけど、優子はなにも悪くない。でも警察に届けて大ごとになると、学校も辞めなくちゃいけないし、ここにも居られないかも」
「いや、でも__」
「向井くんはいいの?優子と2度と会えなくなっても。私はいや。たった1人の親友だもん、私と優子は一心同体だから、絶対に離れたくない」
力説する舞香に、達実は完全に気圧されている。
ちらちらと私のほうを見るけど、私も達実と真っ直ぐ目を合わせることができない。
好きなひとに、嫌われたくないから。
でも、私たち2人で死体を動かすのは無理なんだ。
だから舞香は、あえて達実に打ち明けることで強く結びつくほうに賭けた。
「こんなこと、向井くんにしか言えないよ。私も優子も、向井くんだけは信用してるから」
「そんなこと言ったって、どうするんだよ?」
「消すの」
「えっ?」
「死体を消してしまえば、なかったことになるから。優子のことが大事ならお願い、手伝って」
舞香の言葉に、達実が私を見やる。
泣かないように唇を噛み締めて堪えるけど、両目から涙が溢れていく__。
「わかった」
達実が言った。