「ねぇ、シェアしない?」


「マジかよ」


私の部屋にやってきた達実は、死体を見て呆然と呟いた。


最後まで私は反対したのに、舞香はこの場に達実を呼び出したんだ。


みんなで秘密を『シェア』しようと__。


「さっきも説明したけど、優子はなにも悪くない。でも警察に届けて大ごとになると、学校も辞めなくちゃいけないし、ここにも居られないかも」


「いや、でも__」


「向井くんはいいの?優子と2度と会えなくなっても。私はいや。たった1人の親友だもん、私と優子は一心同体だから、絶対に離れたくない」


力説する舞香に、達実は完全に気圧されている。


ちらちらと私のほうを見るけど、私も達実と真っ直ぐ目を合わせることができない。


好きなひとに、嫌われたくないから。


でも、私たち2人で死体を動かすのは無理なんだ。


だから舞香は、あえて達実に打ち明けることで強く結びつくほうに賭けた。


「こんなこと、向井くんにしか言えないよ。私も優子も、向井くんだけは信用してるから」


「そんなこと言ったって、どうするんだよ?」


「消すの」


「えっ?」


「死体を消してしまえば、なかったことになるから。優子のことが大事ならお願い、手伝って」


舞香の言葉に、達実が私を見やる。


泣かないように唇を噛み締めて堪えるけど、両目から涙が溢れていく__。


「わかった」


達実が言った。


< 119 / 206 >

この作品をシェア

pagetop