「ねぇ、シェアしない?」
シェア?
そういえば、プリントを見せた時も『シェアさせて?』と言っていた。
なんだか舞香が言うとおしゃれに聞こえて、私までセンスが良くなった気がする。
「甘くて美味しい!」
本当に心からそう思ってるみたいで、私のお弁当を食べる。
私は代わりに舞香の豪勢なおかずをつまんだ。
ちょっとしたパーティーみたい。
これなら、彩音も大丈夫かも?
舞香は素直そうだし、彩音の『秘密』を打ち明けたところで見る目を変えたりしないはず。
そうだ、みんなでシェアすればいい。
そうすれば、もっと急速に距離が近くなるはず。
問題は__?
そーっと、窓際を振り返る。
ばちり!と音が聞こえるくらい、安奈と目が合った。
忠告されたのに、それを無視して仲良くご飯を、それもお互いのお弁当を分け合ってシェアしていることに、目くじらを立てているのが分かる。
でも、大丈夫だよね?
別に舞香が何かしたわけじゃないし、ただ可愛いっていうだけで、そんなことだけでイジメたりしないよね?
うん、きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせた。
大丈夫だ。
あれさえバレなければ、問題はない。