「ねぇ、シェアしない?」
達実がシュートを放った。
ボールは綺麗に円を描き、ゴールに吸い込まれる。
その瞬間、試合が決まった。
物凄い歓声が体育館に響き渡り__。
手を叩いて声援を送る私に向かって、達実が拳を振り上げたんだ。
あれから1週間。
私は完全に日常を取り戻していた。
「優子、このあとデートなの?」
一緒に応援してくれた舞香が尋ねてくる。
「約束はしてないんだけど」
「楽しんでね」と先に帰っていく。
その後ろ姿を見送りながら、私は親友に感謝した。
私がこうして日常を送れるのは、舞香と達実のお陰だ。
「惚れ直しただろ?」
額の汗が光っている達実は、1番に私のところに来てくれた。
「うん、かっこ良かった」
「当たり前だし」
「ねぇ、これからデートできる?」
達実の手を取ってお願いすると「あー」と顔をしかめた。
「これから打ち上げ的なやつあんだよな」
「一緒に行っちゃ、ダメだよね?」
期待はしなかったけど、とりあえず訊いてみる。
「女子も一緒だしな」
「だよね」
肩を落とす。
以前、打ち上げに参加した時の、明美をはじめ女子バスケ部の凍てつく視線を思い出した。
「じゃ、行くね」
背伸びして、達実のほっぺにキスをして体育館を後にした。