「ねぇ、シェアしない?」


しかし、それからも以前のようにデートができなくなった。


達実はなにかとバスケを理由に私を避けるようになったんだ。


部活が忙しいのかもしれないけど、ラブホデートだけは欠かさなかったのに__?


そういえばずっと、達実に触れられていない。


それってやっぱり、あのことが原因?


忘れようとすればするだけ、私たちの間に溝となって横たわっているストーカー。でも、あの時はああするしかなかった。


今さらどうにもならない。


「悪い、練習試合があるんだよ」


いつものように断られるも、ふいにキスをされた。


謝罪の気持ちなのか、キスはとても濃厚で__。


唇を離した時に、私は悟ったんだ。


これは違う。


あのことが原因で私を避けてるんじゃない。別の理由がある。


それは女の勘みたいなもの。


「試合、頑張ってね」と、素直に引き下がった。


放課後になり、一旦、学校の外に出る。


しばらく時間を潰してから、私は校内に戻って体育館に向かった。バレーボールに柔道に、剣道部は竹刀を振っていた。


近くにいた生徒にバスケ部のことを尋ねると、今日は練習試合なんてないという。


やっぱり。


下唇を噛み締めながら、私は体育館を出た。


達実は、浮気をしている。


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