「ねぇ、シェアしない?」


ずっと一途だったのに。


どれだけモテても、浮気だけは絶対にしなかったのに__。


それとも私が気づいてなかったから?


ううん、違う。


ここ最近からだ。


やっぱり、私のことが嫌いになった?


でも、キスしてくれた。


甘くてとろけそうなキスは、私のことを求めている証拠。


それじゃどうして?


答えがない闇にはまっていく。


達実に問いたださないと。どうしてウソをついたのか?


もしかしたら、本当に試合がなくなったのかも。


私の考え過ぎってことも__?


「あっ」


目の前を、今まさに達実が横切った。


今、名前を呼べば達実は振り返る。試合が急になくなったから、これからデートしようなんて言われるかも。


でも__私は黙って後を追いかけた。


どことなく、辺りを気にしてる?


足早にどこかに向かう姿は、あまりにも怪しくて。


見失わないようついていくと、モールに着いた。


私たちがいつもデートをすることろだ。


誰かと待ち合わせなのか、きょろきょろしている。


決定的瞬間を目の当たりにしそうで、ついてきたことを後悔した。けれど、確かめないで帰ることもできず、私は物陰から誰が来るのか見守っていたら__。


えっ?


思わず身を乗り出す。


「うそ、でしょ?」


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