「ねぇ、シェアしない?」


「きっと、まだつきまとってるんだよ」


舞香はそう言うと、とても苦い顔をした。


私以上に腹を立ててくれる親友に、やっぱり相談して良かったと思う。


いつも舞香は、私に答えをくれるから。


「向井くんは優しいから、はっきり断れないだけで、優子が心配するようなことはないって」


「そうかな?」


「絶対そう。私が断言する」


そう言われると、安心できるから不思議だ。


それだけ私が舞香に絶大なる信頼を置いているということ。


あとは明美をどうするか__?


それにしても、と私は周りを見回す。


「やっぱり舞香、お金持ちだったんだね」


初めて舞香の家にお呼ばれしたけど、豪邸なんてものじゃなかった。


まるでお城だ。


この舞香の部屋も、シャンデリアや天井つきのベットがゴージャスで目を見張るものがある。


「うん。みんな引いちゃうから呼ばないの。お金目当てに近づいてくる子もいるし。でも優子だったら、そんなことないでしょ?」


「もちろん。私たちの友情は変わらないよ」


「そう言ってくれると思った」


にっこり微笑んだ舞香だけど、どこかその横顔は寂しそうで。


ふいにお母さんの言葉が浮かんできた。


『きっと寂しんじゃないか?』



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