「ねぇ、シェアしない?」


舞香の両親は仕事で留守にすることが多く、この大きな屋敷で家政婦たちと暮らしていると言っていた。


「そういえば、妹がいるって言ってなかった?」


「うん、双子のね」


「双子なの?すごーい。舞香にそっくりなら可愛いね」


「そうかな?生意気な妹だよ」


けれど、妹の話をするときの舞香の顔は嬉しそうで。


きっと、色んなものを分かち合っているに違いない。双子って、神秘的なものがあるっていうし。


あっ、だから舞香はよく『シェア』って口にするんだ。


それは妹さんと、様々なものを分け合っているからじゃないか?


「また紹介してね」


「うん、そのうちね」


約束を交わして屋敷を後にしたけど、達実のことはなにも解決していない。


舞香は気にするなって言ったけど__。


直接、達実に問いただすか、それとも明美のほうを問い詰めるか、しばらく様子を見るか。


答えが出ないまま、次の日、学校に向かう。


下駄箱を開けて上履きに変えようと__。


「えっ?」


パラパラと何かが落ちてきた。


これは__土?


そんなに靴が汚れてたっけ?


ううん、違う。


汚れなんて量じゃない。


下駄箱の中に、山ほどの土が詰め込まれていた。


嫌がらせだ。


しかも__これって、運動場の土じゃない。もっと粘っこくて水を含んでいて、色も濃い。


これは、公園の土だ。


あの男を埋めた、公園の土。




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