「ねぇ、シェアしない?」
もう、限界だ。
このままじゃ、どっちみち重みで手が離れてしまう。
舞香に頼んで明美を引き上げてもらわないと__。
「もし助けたら、ずっと脅されるかもね」
私の考えを見通したように、舞香が囁く。
ゆっくり、甘く。
すべてお見通しなんだ。
私が明美に脅されていることも、どうすればいけないかということも。
ここで助けて明美に恩を売ったとして、いつまで明美が恩義を感じている?それどころか、助けた瞬間に、手のひらを返して言いふらすんじゃ?
「な、なにも言わないから!誰にも言わない!」
私が見下ろした視線に、不審なものが含まれているのを察したのだろう。
明美が必死にすがる。
でもきっと、明美は恩を仇で返すに違いない。
だって、達実のことが好きだから。
私を脅して、殺したいほど__。
「大丈夫。私が優子のもの、半分、背負ってあげるから」
「それって__?」
「そう。いつもみたいに『シェア』しよう?」
舞香が私に体を重ね、その手を伸ばす。
私がなんとか掴んでいる明美の手に、触れた。
「いやっ、やめて!」
危険を感じたのか、いきなり暴れ出す明美。
「ちょっ、だめ!」
私の制止も耳に届かず、叫び声を上げ__。
私たちの手が離れた。
明美が、真っ逆さまに落ちていく。