「ねぇ、シェアしない?」


学校では徹底的に舞香を避けた。


特に苦労することなくそれが出来たのは__。


「優子、大丈夫?」


彩音が声を掛けてきてくれたからだ。


私のことを心配する気遣いは本物で、いま私が唯一、信じられるものかもしれない。


「舞香と、喧嘩でもしたの?」


「うん。まぁ、そんなとこ」


曖昧にはぐらかす。


安奈を死に追いやり、ストーカーを埋めて、明美の手を離したなんてこと、口が裂けても言えない。


そしてそのどれも、舞香が関わっている。


いや、舞香に勧められたと言ってもいい。


「あのさ、三浦さんのことなんだけど」


少し言いにくそうに彩音が切り出す。


「優子、なにか関係してないよね?」


「えっ?」


「だってあの時、三浦さんに呼ばれて2人でどこかに行ったでしょ。それからすぐ、三浦さんは屋上から飛び降りた。自殺っていうことだったけど__」


彩音は明らかに、私を疑ってる?


「もしかしたら、舞香が?」


「だめ!」


気づけば私は、彩音の肩を掴んでいた。


「ゆ、優子?」


「だめ!関わっちゃだめ!絶対だめだから!」


強く肩を揺さぶり、彩音に訴える。


もし舞香の耳にでも入れば、舞香は容赦なく彩音のことを排除するだろう。


彩音を守る、たったひとつの方法。


それは、彩音と縁を切ることだ。


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