「ねぇ、シェアしない?」


中から鍵を締める。


これで昨日みたいに侵入されることはないだろう。


どんどんと舞香の張り巡らせる糸に絡んでいく。


その糸を断ち切るにはどうすればいい?


シェアを解消するには?


考えれば考えるほど、闇の渦に飲み込まれ__。


いつの間にか私は、浅い眠りについていた。


足音が聞こえる。


音を立てないよう、忍び足で廊下をやってくる。


そしてぱたりと、部屋の前で止まった。


扉の向こうに、熱のこもった息遣いを感じ、私は身を硬くする。


でも大丈夫だ、鍵を掛けてあるから。


入ってはこれないはず。


かちゃり。


鍵が外れる音に、毛という毛が総毛立った。


中に、入ってきた!


今日は帰ってきたときに、舞香の父親とは玄関で顔を合わせている。今日も泊まることを告げたはずなのに、私が寝ている部屋の鍵を勝手に開けて入ってくるなんて__。


狂ってる。


親子ともども、頭がおかしいんだ。


そして舞香は、父親と関係している__。


ゆっくり、そーっと忍び寄ってくる足音。一歩ずつベッドに近づいてくるのがわかった。


今にも発狂しそうだったけど、私は口を押さえて耐え忍んだ。


痙攣したように震えるのは、込み上げてくる恐怖から。


でも__我慢すれば、帰るはず。


だって私はベッドに居ないから。


父親が諦めて帰ろうとするのを、私はベッドの下に身を潜ませて見ていた__。


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