「ねぇ、シェアしない?」
部屋の中に転がり込み、中から鍵をかける。
鍵そのものを持っている可能性があるため、私は息を押し殺した。
「舞香、舞香」と、娘の名を呼び続ける声がいつまでも聞こえたいたけど、やがて静かになり__。
ようやく押さえていた手を口からはなし、私は大きく息を吐いた。
朝までここに隠れていよう。
ここを出て、2度と来ない。こんなところ2度と。
少し落ち着くと、周りが見えてきた。
ここは__物置?
大きな部屋だけれど、いろんな家具やらが置いてある。
いざとなれば、隠れることもできるだろう。
調べておこうと、足音を殺して部屋の中を探索する。
それを見つけたのは、しばらく経ってからだ。
「__アルバム?」
1冊のアルバムだった。
ぱらぱらとめくると、幼い頃の舞香が写っている。
その横には、同じ歳の頃の女の子が。
これが舞香が言っていた、妹かもしれない。
でも、2人は似ていない。
どの写真を見ても、背格好はまったく同じなのに顔が違う。
ページをめくり、どんどん成長していく過程を眺めていたけど__ある日を境に写真がなくなった。
中学生からの写真がない。
1枚も。
アルバムは唐突に終わっていて、元の場所に戻したとき、そばに置いてあった四角い箱を落としてしまった。
中から写真が飛び出す。
その1枚を手に取った。
「えっ__?」