「ねぇ、シェアしない?」
もう私が頼れるのは、1人しか居ない。
登校するとすぐ、隣のクラスに向かった。
「達実、ちょっといい?」と、向井達実に声をかける。
ずっと避けてきたから、まさか私のほうから呼ばれると思ってなかったのだろう。少し驚いた様子で、後をついてくる。
とにかく人目につかない__いや、舞香の目の届かないところに行かないと。
写真は何枚もあった。
どれも楽しげで距離が近くて、中にはキスをしている写真まであった。間違いなく、2人は付き合っていたんだ。前に舞香が話していた、年上の元カレかもしれない。
DVがひどく、ストーカーになったと言っていた。
その元カレが、今度は私をストーキングしていたなんて__。
そんな偶然はあり得ない。
きっと舞香がそう仕組んだんだ。
「優子、ごめん」
誰もいない美術室に入ると、すぐに達実が謝った。
「実は俺、桐崎に脅されてて」
「えっ?」
「俺の家、工場やってるだろ?そしたら、あいつの親父が凄いひとらしくて、仕事が急に入ってこなくなって。もし言うことをきかないと、工事が潰れてしまうから」
もう私は、達実のことを疑いはしない。
脅しに屈したのは私も同じ。
今は、2人で力を合わせるしかないんだ。