「ねぇ、シェアしない?」
すとん。
悲鳴すら上げることができず、腰を抜かした私はその場に座り込んだ。
「ほら、こっちは優子のだよ?」
舞香が膝を屈め、私に差し出す目玉。
黒目が私のほうを見つめていて、今にも瞬きをしそうで__。
「うっ」
込み上げてくるものを床に吐き出した。
「ゆ、優子?」と、少し離れたところから彩音が声を掛けてくれたけど、膝がぶるぶると震えて動けないようだ。
「大丈夫?」
そう言って、優しく背中を撫でてくれた舞香の手を「嫌っ!」と私は乱暴に振り払った。
その拍子に、目玉が転がっていく。
そもそも、あれは誰の目なのか?
「せっかく半分こにしようと思ったのに。じゃ、ちょっと待ってて」
にっこり微笑んだ舞香は、ベッドのほうへ歩いていく。
ここからじゃはっきり見えないけど、倒れている達実の横に膝をついて、なにかをしている。
ぬちゃ。
なんとも形容しがたい不快な音が、部屋中に聞こえ__。
「平等に半分ずつね。だって、私と優子はシェアしてるんだから」
そう言って、舞香がなにかを投げた。
べしゃ。
床に散らばる生々しい血。
その中央にあるものそれは__耳だった。
切り取られた、耳だったんだ。