「ねぇ、シェアしない?」
「いや、やめてっ」
思い切り叫びたいのに、叫べない。
それなのに、呼吸がどんどん浅くなっていき、過呼吸みたいになっていく。
「それも気に入らない?せっかく半分こにしてるのに」
「いやっ」
「じゃ、仕方ないか。優子に、いいほう譲るよ」
手から胸元、足の先まで血に染まっている舞香。
それは誰の血なのか?
誰の耳なのか?
誰の目なのか?
答えは__明らかだった。
「縦に分けようと思ったけど、そうすると不格好でしょ?だから横にしたんだ。どっちを取るかで喧嘩するかもだけど、それもシェアすればいいよね?」
舞香の言葉が、耳を通り抜けていく。
地べたに這いながらも、私は少しずつ、少しずつ達実に近づいた。
「1週間おきでもいいし、体を入れ替えれば問題ないでしょ?それでも嫌だっていうなら、私は足で我慢するよ」
ようやく達実の足に触れそうな手が、ピタリ止まる。
『足で我慢する』?
言葉の真意を問いかけるように振り返ったけど、舞香はそれ以上は答えずに、私のことをじっと見つめている。
その先に答えがあるのだと__。
私は、激しく震える手で、達実の足を引っ張った。
ずずずっ。
足が動く。
手は、全く動かないというのに__?
もう涙でよく見えないけど、私は首を伸ばして達実の体を見下ろした。