「ねぇ、シェアしない?」
「夏美はとても幸せそうで、私は応援することを約束した。でも、それからしばらくして__夏美は死んだ。首を吊って自殺したって」
どんよりと虚ろな目をして、部屋の片隅を見つめる舞香。
その唇が、かすかに震えている。
「あれだけ幸せそうだった夏美が、死ぬはずなんかない。しばらく経って送られてきた手紙に、全て書いてあった。どうして夏美が死ななければいけなかったか全て。私が今さら説明しなくても、2人のほうがよく知ってるわよね?」
頷くことも、否定することもできない。
私も彩音も俯いている。
知り過ぎているからだ。
夏美と私たちは、同じクラスだった。
そしてその頃、彩音がいじめのターゲットになっていたんだ。安奈のいじめは、それはもうひどくて、目に余るものだった。
唯一の友達だった私は、なんとかしようと必死だった。
彩音は、私までいじめられてしまうと、私の助けを拒んだけど、放っておくわけにはいかない。
なんとかして、なんとかして安奈のいじめを止めたい。
でも下手をすれば、私が代わりにいじめられてしまう__。
じゃ、どうすれば?
考えに考え抜いた挙句、私は1つの結論にたどり着いた。
生贄だ。
安奈に、生贄を差し出せばいい。