「ねぇ、シェアしない?」
その頃から、安奈は達実にご執心だった。
達実と馴れ馴れしくする女子を、徹底的にいたぶっていたんだ。
そんな時、私は見てしまった。
夏美が、達実に告白しているのを__。
それをこっそり、安奈に耳打ちする。
すると当然、いじめの矛先は彩音から夏美に変わった。
生贄を与えることで、気をそらせることに成功したんだ。
夏美には恨みはないし申し訳なかったけど__まさか死んでしまうとは思わなかった。もし私があの時、安奈にチクらなければ__?
「夏美は全部、知ってたよ。優子にバラされたってことも全部ね。でも、1度でも優子のこと責めた?ううん、夏美はそんな子じゃない。自分が弱いからって死んでいった、誰を恨むこともなくね」
「それで、私たちに仕返ししたの?」
彩音が、震える声で尋ねた。
よく見ると、涙を流している。
それは、自分の代わりに死んでいった夏美を思っての涙?
「私は夏美となんでもシェアしてきたから分かる。どこかで悔しかったはず、憎かったはず。だからその思いを、私が晴らすのは当然でしょ?夏美を追いつめたやつ全員、やり返すことにしたの」
舞香の狂気じみた行動が、1つの線になった。
すべては夏美のため。