「ねぇ、シェアしない?」


「だから、なにもかも奪ってやることにしたの。
大切なもの、ぜーんぶね」


ようやく、舞香の目的が判明した。


すべては、妹を死に追いやった私への復讐だ。


実際に手を下した安奈より、きっかけを与えてしまった私への、仕返し。


友達を失い、好きな人を失い、家族を奪われ、居場所もなく、親友に裏切られ__身ぐるみを剥がされた。


『シェア』という甘い言葉で近づいてきて、私を陥れたんだ。


半分どころじゃなく、全てを奪い去っていく__。


「どう?やっとわかったでしょ?大切なものを奪われる気持ちが」


私の大切なものは、半分に切られてしまった。


そしてもう、2度と動くことはない。


この足が、動くことはもうないんだ。


私のせいで。


「優子!」


彩音が私の名を呼ぶ。


「優子!」と何度も。


私を勇気づけるように__。


舞香に次々と大切なものを奪われた。


私は殺されるかもしれない。


達実のように、半分に切断されるかもしれない。


それでも、私は1人じゃない。


「優子!」


私は、やっと立ち上がった。


だって私は、孤独じゃないから。


孤独なのは、舞香のほうだ。


私にはまだ、私のことを心配して名前を呼び続けてくれる、友がいる。


大切な、友達が。


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