「ねぇ、シェアしない?」
ずっと、悔やんでいたのかもしれない。
私が安奈にいじめられた時、彩音は身を呈して止めてはくれなかった。
いじめの怖さを思い出し、加担したんだ。
自分が被害に遭わないために__。
だからこそ、今度は私の味方でいてくれる。2度と同じ過ちを繰り返さないんだと。
「それは、優子とシェアするってことでいいの?」
「えっ?」
「優子の、これから味わう苦しみを半分、背負うってことでいいんだよね?」
意地悪く尋ねる舞香に「__うん」と、彩音が頷く。
「私と優子は、友達だから」
「彩音」
私は、溢れ出てくる涙を拭った。
それは、とても温かい涙。
2人で身を寄せ合い、舞香と向かい合う。
「それなら、兄弟みんな不幸になるかもね」
「えっ?」
「だって、お姉ちゃんが犯罪者になるんだから」
そう言ってほくそ笑む舞香に、彩音が動揺し始めたのがわかった。
触れ合う腕の震えが、伝わってくる。
「彩音、聞いちゃだめ!」
「私がなにもしなくても、世間からはハブられる。でもそれが、大切なひとの苦しみを請け負うってことなの。その覚悟、彩音にはあるの?」
「聞いちゃだめだって!」
「優子が一体、なにをしてくれるわけ?」
「私は、私は彩音を守るから!」
「どうやって?」
「それは__」
「彩音、もう一度きくわ。でも、これで最後ね」