「ねぇ、シェアしない?」


先に転入していた舞香が、吹き出しそうな顔をして言った。


それからの授業も、机をくっつけて教科書をシェアする。


「お昼、一緒に食べよ?」


私はてっきり、舞香と2人きりだと思った。


でも、みんなで6人。


それぞれの弁当を広げ、おかずをつつき合う。


「こうやってシェアすると、楽しいでしょ?」


誰かが言った。


「うん」と笑顔で頷きつつ、心の中であざ笑う。


本当のシェアを知らないくせに。


誰1人、本当の意味を知らずに、呑気にお弁当を食べている。


私は、舞香と視線を交わした。


その意味深な眼差しは、私だけが特別だと言われているような気がする。


ただ、大勢とシェアすることは、舞香に考えあってのことかもしれない。


私は、もう舞香についていくしかない。


それが唯一、私に残された道だから__。


それからもずっと、私は舞香と過ごした。


共に過ごす時間でさえ、シェアしているんだ。


転校生ではあるけれど、いじめとは無縁。もう以前のように、いじめで悩む必要もない。


舞香の隣にいれば、高校生活も安泰だ。


私は守られている。


シェアしている限り。


「ねぇ」


放課後、舞香に声をかけられた。


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