「ねぇ、シェアしない?」
「優子、好きだよ」
そう言って、達実(たつみ)が私にキスをする。
何度も何度も、キスの雨が降ってくる。そして唇から離れた雨は、首元に降り積もり__。
「キスマークやめてよ⁉︎」
「えーっ」
「もう、ホントにゴマかすの苦労したんだから」
「別にいいじゃん。優子は俺のもんなんだから。その証明だよ?」
達実の目に見つめられると、それだけで許してしまいそうになる。
「でも、ダメなものはダメなの!」
胸を押して突き放したが、またすぐに抱き締められた。
そして再び、私たちは口づけを交わす。
ここは2人だけの空間。
私はいつ呼び出されてもいいように、私服を持ち歩いているし、制服から私服に着替えてラブホテルに直行する。これが達実とのデートプランだ。
もちろん、街中を腕を組んで歩いたり、ソフトクリームをアーンしたり、デートっぽいことをしたい。
どちらかというと、達実のほうがそれを望んでいるけど__私は絶対に危険を冒したくはなかった。
たとえ4駅離れていたとしても、誰が見ているか分からない。
もし見られたら最後、私は安奈の餌食になってしまう。
どうしてもそれだけは避けたかったんだ。