「ねぇ、シェアしない?」
えっ、なんで?
なんで、私の机に?
落書きされるのは、舞香じゃないの?
【ブス!】【調子乗んな】【売女】【ビッチ!】
油性のペンで書かれた粗悪な言葉が、一斉に襲いかかってくる。
でもこれは、達実と仲良く喋ってた舞香に向かって書かれたんじゃ?
そうだ、席が隣同士だから間違、え__た?
わずかな希望も、ある落書きによって打ち砕かれた。
【向井くんを横取りしやがって!】
これって、私が達実と付き合っていたことが、バレてる?
ううん、そんなわけない。
だってあの秘密は誰も知らないはずだから。
「ねぇ、優子」
いきなり耳元で声がして、飛び上がるくらいに驚いた。
安奈だ。
安奈が、満面の笑みを浮かべて立っている。
だからつられて、私も笑顔になった。これはなにかの間違いだと、そう言ってほしくて__。
「どうやって向井くんをおとしたの?どうせ、なにか弱味でも握ったんでしょ?」
「あっ、あのっ、それは__」
「許さないから」
とても優しい声だった。
「あんただけは、絶対に許さない」
「あ、安奈、ちょっと__」
「気安く呼ぶんじゃないよ!このメスブタ!」
机ごと蹴り飛ばされて、私は床に倒れる。
「今日からお前は人間じゃない。豚だよ、豚。人間の言葉を喋ったらその舌、引っこ抜くからな」