「ねぇ、シェアしない?」
「眩しい友情、ってとこかしら?」
気のない拍手をしながら、安奈が小馬鹿にしたように言った。
「いじめなんて、絶対に許さないから」
「あら、随分と威勢がいいこと。でも、いつまでもつかしらね?」
そう言うと、私の机に掛けられていた風呂敷をすーっと引っ張った。
お弁当が、ゆっくりとなだれ落ちていく。
床にひっくり返った、私たちのお弁当。仲良くシェアをしていた食べ物が無残に散らばる様は、私たちの行く末を見ているようで__。
「あら、ごめんなさい。手が滑っちゃって」
「ちょっと!拾いなさいよ!」
「舞香、もういいから」
「良くないって!」
「お願い、もういいから」
今にも食ってかかっていきそうな舞香をおさえ、安奈たちが教室から出ていくと、私はお弁当を拾った。
「優子、やり返さなきゃ」
「やり返す?」
「そう。じゃないと、ずっとやられっぱなしだよ?」
まだ納得できない様子の舞香は、いじめの怖さを知らないんだ。
さっきもし舞香を止めなかったら、私と同じようにいじめられることだろう。
私は友達を守ったんだ。
けれどそれが、裏目に出ることになった。